『理想の国語教科書』齋藤孝著

理想の国語教科書

理想の国語教科書

はじめはレポートを書くために読み始めたけれど、読んでいくうちにとっても楽しくなり始めた本。
この『理想の国語教科書』とは小学校中高学年を対象としたもの。にもかかわらず夏目漱石の「夢十夜」に始まり小林秀雄森鷗外といった日本の錚々たるメンバーからロマン・ロランネルートルストイといった海外の錚々たるメンバーの作品まで集めたとても豪華な構成。おまけに教材(?)ひとつひとつに齊藤さんの解説が付いており、親子でも楽しむことができるようにとの願いが込められています。

私は「国語は体育だ」、「読書はスポーツだ」という考えを持っています。それは日本語力は意識的に身につけるべき技だという考えです。最良のものに出会いあこがれ、大量の反復練習をこなすことで、技を身につけていく。このプロセスは、スポーツでも日本語力でも変わらないと考えています。(「はしがき」より)
文章には密度やレベルの違いが当然ある。シェイクスピアゲーテ漱石らの名作は、文章としてそれらの絶対値が高い。小学生がそれをすべて吸収できるわけではないが、総量の多い分だけ受け取るものも多い。比喩として言えば、全体量が十のものを徹底的に吸収したとしても九・五程度にしかならないが、総量が百のものに出会えば悪くても二十〜三十の吸収がある。(「終わりに―声に出して読む理想の国語教科書」より)

この本の中で実際に読んだことのある作品は2つ、作者は6人…(31作品、30人中)数えた後、思わず苦笑してしまいました。
国語は小学校以来一番苦手でしたが、印象深い授業のほとんどは国語。国語、数学(算数)、理科、社会(生活科)、英語のいわゆる5教科の中で今一番役に立っているのも国語です。文法〜先生の雑談まで。
「日常で日本語を話せるんだから国語なんて勉強しなくていじゃん。」と本気で考えていた頃が悔やまれます。